消火器の家庭用(住宅用)と業務用の違い

自衛消防組織
小規模な飲食店等への消火器具の設置が義務化
外出すれば必ず見かける消火器、住宅の中でも見かける事も増えてきました。
消火器は初期火災の時に、火を消す為に有効な消火器具です。
消火器具とは、消火器と簡易消火用具を総称したものをいいます。
簡易消火用具とは、水バケツ、水槽他があります。
消火器具として多く普及しているのは消火器です。
その消火器、家庭用(住宅用)と業務用とで違いがある事を簡単にご案内いたします。

住宅用消火器とは、消火器のうち住宅における使用に限り適した構造及び性能を有するものをいう。

ここで一点、注意事項です。
消火器含む消火器具は初期火災に有効です。
初期火災とは発火してから数分以内、住宅内であれば天井に炎が届くまでを初期火災と言い、消火範囲に限りがある事をご理解ください。消火器具で長時間に渡り消火活動をする行為は、悲しい結果を生むことになるのです。
消火活動は避難路を確保し、初期火災を過ぎた時は、迷わず避難する事が重要です。

設置義務

一般の住宅内においては法令による消火器設置の義務はありませんが、取扱説明書に沿った点検等を実施してください。しかし、業務用は消防法施行令 第10条で定められた設置対象物に対し設置する義務があり、定期点検も必要です。
訪問販売で専門業者を装う悪徳業者が消火器を法外な点検料や引取料を強引に請求(リース契約など)されるといった事例がありますので注意ください。

業務用消火器の設置上の注意事項

  • 避難・通行経路を妨げず、有事の際はすぐに使用できる場所に設置する
  • 歩行距離20m以下に設置し、各階ごとに設置する
  • 床面からの高さ1.5m以下に設置する
  • 【消火器】の標識を設置、見やすい位置に付ける
  • 地震や振動で転倒、落下しないように設置する
  • 消火器に表示されている設置要項を必ず守り、消火薬剤の凍結、変質又は錆などにより噴出しない様に、高温・多湿場所は避ける。
  • 6か月に1回以上は外形を点検する。(点検義務)

消火器の種類

蓄圧式と加圧式

消火薬剤の加圧方法によって、蓄圧式と加圧式に分かれます。
蓄圧式には圧力を示すゲージ(指示圧力計)が付いています。

ゲージ有

 ゲージ無

一度使用した蓄圧式消火器は繰り返しの使用は避け、一度使用した場合は使い切りで、 再度充填又は交換が必要です

消火薬剤

液体系と粉末系がございます。

家庭用(住宅用)と業務用の違い

住宅用消火器の特徴(特記事項)

  1. 業務用消火器の様に赤が無くても良い、よってカラフルでデザイン性に富
  2. 消火薬剤の詰め替え不要、定期点検は不要で、使用期限がくれば本体を交換のみ
  3. 軽量でホースが無もあります。女性やお年寄り災害弱者でも業務用消火器に比べ使用は簡単、火元を狙い易い。
  4. 消火単位は無く、適応火災は絵で表記されている。

適用火災(住宅用と業務用では本体容器の表記が違う)

住宅用消火器

火災の種類に応じて適応火災が絵で示されています。
購入する際は、必要とする適用火災をお確かめください。

業務用消火器

消火能力単位があり、消火器の技術上の規格を定める省令(昭和 3年自治省令第 27 号。) により能力単位を定めています。

例えば、4畳半の面積の広さを想定した木材模型(クリブ模型)1台を消火器1本で消すと普通火災消火能力単位は1単位とし、消火器本体容器にはAー1と表記されます。
消防法では消火能力単位=1単位=8リットル入り消火バケツ✖️3杯=24リットルと定めています。

  • 普通火災:A・・・・・・・・・・・・・木材、紙、繊維など
  • 油火災 :B・・・・・・・・・・・・・石油類その他の可燃性液体、油脂類など
  • 電気火災:C(単位無し)・・・・・・・電気設備・電気器具など

小規模な飲食店等への消火器具の設置が義務化

2019年10月1日に消防法施行令の一部が改正され、「調理を目的とした火を使用する設備又は器具を設けた」全ての飲食店に消火器具の設置と点検・報告が義務化された。

義務化になったきっかけ

新潟県糸魚川市のラーメン店で発生した大規模火災、平成28年12月22日に発生、その後「糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方に関する検討会」が開催され、今までは延べ床面積150㎡以上の場合に於いて消火器の設置義務を延べ床面積に拘わらず、消火器の設置義務と義務となった。

飲食店の消火器具設置と点検の義務化

「調理を目的とした火を使用する設備又は器具を設けた」全ての飲食店に消火器具の設置と点検・報告が義務化されます。

消火器の点検報告(消防法第17条の3の3)

  • 設置した消火器は6か月ごとに点検を実施(機器点検)。
  • 点検結果を記録し、1年に1回所轄の消防署へ報告する義務があります。

消火器具の設置義務ではないポイントを確認

  1. 調理油過熱防止装置が備え付けられている。

  2. 自動消火装置が備え付けられている。

  3. 危険な状態の発生を防止するとともに、発生時における被害を軽減する安全機能を有する装置を設けている。(例: 圧力感知安全装置)

調理を目的として設けられた設備・機器であっても、電気を熱源とするものは「火を使用する設備又は器具」ではないので、IHクッキングヒーターや電子レンジは対象外。
自治体による火災予防条例等にご注意ください。自治体によっては「火を使用する設備又は器具」が設置されていない(IHクッキングヒーターや電子レンジのみの設置)場合でも、飲食店等であれば消火器具の設置が必要な場合がございます。詳しくは所轄の消防署までお問い合わせください。

業務用消火器と住宅用消火器の買い間違いにご注意!

全ての飲食店様!義務設置は、消火器具の中でも業務用消火器です。お間違えない様にしてください。

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